ぼくの出会ったアラスカ

ぼくの出会ったアラスカ (小学館文庫)

ぼくの出会ったアラスカ (小学館文庫)

中学だったか国語の教科書に星野道夫さんの
『アラスカとの出会い』という作品が載っていて
その中の一説にすごい素敵な文章が載っていた事最近ふと思い出した。
突然、読みたくなって本屋さんを探しに探して今日やっと見つけた。
ぼくの出会ったアラスカ』という文庫本の中に収められていて
人と人との出会いの不思議さを感じさせる胸がギュッとなるような
そんな作品なのである。
特に私の好きな部分を引用させていただくと

電車から夕暮れの町をぼんやり眺めているとき、
開けはなたれた家の窓から、夕食の時間なのか、
ふっと家族の団欒が目に入ることがあった。
そんなとき、窓の明かりが過ぎ去ってゆくまで見つめたものだった。
そして胸が締めつけられるような思いがこみ上げてくるのである。
あれはいったい何だったのだろう。
見知らぬ人々が、ぼくの知らない人生を送っている不思議さだったのかもしれない。
同じ時代を生きながら、その人々と決して出会えない不思議さだったのかもしれない。

人生はからくりに満ちている。
日々の暮らしの中で、無数の人々とすれ違いながら、私たちは出会うことがない。
その根源的な悲しみは、言いかえれば、人と人とが出会う限りない不思議さに通じている。

この2箇所がものすごく好き。
たとえば、地図なんかで自分の知らない土地のページを開いた時、
“ここにも人が住んでいてそれぞれの人生を歩んでいるんだよな”
とか考えるとすごくせつなくなる。
自分はその人たちとはこの先出会うことが無いのに
でもその人たちは私と同じ時代を、この瞬間を生きてる。
私が今まで出会ったきた人たちってどーして出会えたんだろう?
偶然なのか?必然なのか?
これが“人と人とが出会う限りない不思議さ”
なんだろーね。。